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日本酒メーカーに対するアライアンス活動の推進
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ジャパン・フード&リカー・アライアンス株式会社 代表取締役社長
小林 武司

問: 

中期経営計画「JFLA プラットフォーム 2010」を推進していく上での前提として、「小規模地酒系メーカーに対するアライアンス活動は『既存事業的位置付け』」とありますが、これはどういったことなのでしょうか?

答: 

2006年にJFLA体制がスタートした際に掲げた統合的成長戦略の中で、アライアンスによるメンバー企業の拡大を柱として挙げておりますが、今回の中期経営計画策定にあたり、実際にその戦略をスタートしてどうだったかと振り返ってみますと、日本酒や醤油などの伝統的な食品事業分野は大変厳しい市場環境下にあるということもあって、当初予想していたよりも短期間でかなり多くの案件に関わる結果となりました。特に日本酒業界については、需要が前年対比で2 桁近い落ち込みが続いており、また後継者難などの状況を背景に、今後ますます案件の増加が見込まれると思われ、アライアンス活動が停滞する可能性は非常に低いとの結論に達しました。また、アライアンス先である企業の規模が小さいため、クロージングまでスムースに進行するという点もあって、私たちにとってはすでに「新規事業」ではなく、この中期経営計画の段階においては、自分たちのさまざまな経験を生かして取り組むことで成果が見込める、「既存事業」として進めていけるものと判断し、そのような意識を持って今後も推進していくつもりです。

問: 

実際にJFLA グループの日本酒メーカーに対するアライアンス実績はどのようになっているのでしょうか?

答: 

はい。2007年3月期は、メンバー企業として新たに当社グループに参加することになったのが、群馬県・渋川の聖酒造株式会社の1社でしたが、当期においては、7月に新潟県・糸魚川の加賀の井酒造株式会社、9月に広島県・竹原の藤井酒造株式会社との間で、事業譲渡契約が成立しております。また、来期についても支援中の企業が当社グループのメンバー企業となる予定ですし、新規案件についても増加しております。これは、当社グループの基盤にはもともと醸造業が含まれていることから、ノウハウを生かしたアライアンスが一定の成功を収めているということが周知となり、業界全体においてもその活動が広く認知されつつある証拠かと思います。

問: 

そもそもJFLAグループではどういった考えで、このアライアンス活動を進めるようになったのでしょうか?

答: 

JFLAグループがスタートした際の理念のひとつとして、「日本の伝統的な食文化を守る」ことを掲げました。醤油についても、日本酒についても、その味は全国画一ではなく、日本各地に根付いたそれぞれの味わいがあります。これを後世へと残していくことが、今を生きる私たちの役目だと思っております。また、当社グループの母体企業にはマルキン忠勇株式会社や盛田株式会社などの醸造企業があり、JFLAグループ自身の再編の出発点が、食文化を残すという点とともに、「企業体としての生き残り」のために、一緒になることでのグループメリットを生み出していきたいという考えがありました。ですから、当社グループの成長戦略にとっては「仲間としてシナジー効果が生み出せる」、そういった企業を募っていくことが求められているのです。

問: 

日本酒業界は非常に厳しい状況下にあると言われていましたが、苦しい経営が続く日本酒メーカーをどのように再生していくのでしょうか?

答: 

基本的にはメンバー企業間の連携によって事業再生を行っていきます。再生戦略の指揮をとるのは持株会社であるJFLAであり、生産、管理、販売などさまざまな面において数々の効率化を図っていきます。
生産面においては、原料や資材などの価格の一括交渉等による原価の低減、あるいは、人員の効率的配置や繁忙期におけるグループでの応援体制の確立による労務費の削減、さらに生産設備のグループ内での有効利用による、設備投資額の圧縮などが挙げられます。
また、管理部門の機能をJFLAに集約させることで効率の改善を図り、財務も一括して持株会社で行うことから、資金調達による支払利息の低減などの効果も現れます。これだけでも、不採算事業にはかなりの改善が見られるという実績が出ております。
加えて、ほとんどの中小の日本酒メーカーは、主な販売先が地元地域ですが、これにプラスして、JFLA酒類販売というグループ販社を利用し、東名阪などの流通網に自社の商品を乗せることによって、いままでになかった地域での販売が拡大 していくというメリットがもたらされます。これらの実行により、各蔵は特定名称酒などの高品質な自社ブランドを代表する製品造りと地元での販売だけに専念でき、資金繰り等での銀行交渉に悩まされることもありません。また今後は、商品開発やPRといった点においても、グループトータルで推進していくことで、ひとつひとつの酒蔵の個性を維持しながらも、全体でのブランドの認知向上が図れるように仕掛けていきたいと思っています。
個々の日本酒メーカーは、自らの歴史や伝統を守るため経営におけるあらゆる面において、今まではひとつの蔵ごとに行っていたことを、グループの「仲間」と一緒に進めていくことになるのです。

清酒事業の再生システム

問: 

今年の10月22日に設立された株式会社伝統蔵は、日本酒メーカーへのアライアンス活動においてどのような役割を担っていくのでしょうか?

答: 

先ほども申し上げましたが、日本酒業界の厳しい状況を背景として、今後も案件の増加は加速していくものと思われます。ですから、小規模の日本酒メーカーに対するアライアンス活動を、より迅速かつ効率的に展開するため、この活動の推進とそれに伴う投資活動、あるいはメンバー企業となった日本酒メーカーの管理・運営を専門的に行うことを目的とした、株式会社伝統蔵を新設分割することといたしました。現在メンバー企業となっている聖酒造株式会社、加賀の井酒造株式会社、藤井酒造株式会社は、株式会社伝統蔵の設立に伴い、その株式が100%継承されて同社子会社となり、今後新たに参加する日本酒メーカーについても、すべて伝統蔵の子会社となります。
また、将来的には株式会社伝統蔵を健全かつ成長が望める企業体として、株式市場への上場も視野に入れた企業構築を行っていきたいと思っています。

株式会社伝統蔵

問: 

今後日本酒メーカーへのアライアンス活動は、中期経営計画の期間でどのくらいの規模での展開を考えられているのでしょうか?

答: 

私たちが活動を進めていくアライアンス先である小規模の酒蔵は、売上ベースで言えば、平均1〜5億円程度だと見込まれます。日本酒業界の不振もあり、加速してアライアンス活動は進め、当中期経営計画期間で30〜50蔵程度をメンバー企業として迎えたいと考えています。それによる連結売上高ベースでの売上高の増加は、50億円以上を見込んでおります。
アライアンスによるメンバー企業を集うスピードを上げるのと同時に、当社グループ内での受け入れ態勢、つまり、メンバー企業となって早期に経営が軌道に乗せられるような仕組み作りの準備も進めております。それは、地方の酒蔵と一口に言っても、地域やその成り立ちはばらばらですから、蔵のキャラクターや強みも異なっています。地元の飲料店や酒販店への販売が主流である蔵、立地も手伝って観光客向けに賑わう蔵、また、通信販売による消費者へのダイレクト販売を積極的に進める蔵などさまざまです。ですから、どの蔵にもひとつの型に当てはめるのではなく、あらゆるタイプの日本酒メーカーの経営を分析して織り込んだ、酒蔵用の「ERPシステム」的なものを開発し、蔵ごとの強みを生かした経営を簡易に、そして早期に落とし込むことができるよう構築していきたいと考えています。
現在、「日本酒」という世界に誇れるすばらしい食文化を将来に向けて残せるかという点においてシリアスな状況です。ですから私たちはよりスピードを上げて、この活動に取り組んでいきたいと考えています。

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